ボツリヌストキシン注射
ボツリヌストキシン注射とは
ボツリヌストキシン注射は、筋肉の動きや汗腺の働きに関わる神経伝達を一時的に弱めることで、表情じわ、エラの張り、ワキ汗などの症状をやわらげる治療です。
ボツリヌストキシン製剤は、神経末端からのアセチルコリン放出を抑えることで、筋肉の過剰な動きや発汗を抑える作用があります。効果は永久ではなく、時間の経過とともに徐々に元に戻ります。
顔の表情じわに対しては、筋肉の動きによってできる「動的なしわ」に向いています。一方で、無表情の状態でも深く刻まれているしわや、皮膚のたるみが主な原因の場合は、ボツリヌストキシン注射だけでは十分な変化が得られにくいことがあります。
適応となる肌悩み・症状
表情じわが気になる方
ボツリヌストキシン注射は、表情をつくるときに筋肉が収縮してできるしわに適しています。
当院では、以下の部位に対応しています。
- ひたい
- 眉間
- 目尻
- 目の下
- バニーライン
- 口角
- 顎
- 上口唇
- その他(ご相談に応じます)
ひたいの横じわ
眉を上げたときに出る、ひたいの横じわに対して行います。
ただし、ひたいの筋肉はまぶたを開ける動きにも関係しているため、注入量や注入位置には注意が必要です。眼瞼下垂やまぶたの重さがある方では、治療後にまぶたが重く感じることがあります。
眉間のしわ
しかめたときに出る眉間の縦じわに対して行います。
表情のくせによって深くなりやすい部位で、無意識に眉間へ力が入る方にも向いています。
目尻のしわ
笑ったときに目尻に出るしわ、いわゆる「笑いじわ」に対して行います。
自然な笑顔を残すため、目元の動きや左右差を確認しながら注入します。
目の下の小じわ
目の下の筋肉の動きが関係する小じわに対して、少量で慎重に行うことがあります。
この部位は、注入量や位置によって違和感、笑いにくさ、涙袋の変化などが出ることがあるため、診察で適応を確認します。
バニーライン
笑ったときや鼻に力を入れたときに、鼻の付け根から鼻背に出るしわに対して行います。
口角
口角を下げる筋肉の働きが強い場合に、口角が下がって見える印象をやわらげる目的で行います。
口元は会話や食事に関わるため、入れすぎないよう慎重に調整します。
顎の梅干しじわ
顎に力を入れたときに出る凹凸、いわゆる「梅干しじわ」に対して行います。
顎の筋肉の緊張をやわらげ、口元の力みを目立ちにくくすることを目的とします。
上口唇
上口唇の縦じわや、口元の力みが気になる方に行うことがあります。
口元は日常生活でよく動く部位のため、違和感や飲み物が飲みにくいなどの症状が出ないよう、適応を慎重に判断します。
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エラ・ワキ・肩へのボツリヌストキシン注射
エラ
エラの張りの原因が、骨格ではなく咬筋という筋肉の発達による場合、ボツリヌストキシン注射の対象になることがあります。
歯ぎしりや食いしばりがある方では、咬筋の緊張が強いことがあります。
ただし、エラの張りには骨格、脂肪、たるみ、筋肉など複数の要因が関係します。診察で咬筋の発達を確認したうえで、適応を判断します。
ワキ
ワキ汗が多く、汗じみや日常生活での不快感が気になる方に行います。
ワキのボツリヌストキシン注射では、汗腺に関わる神経伝達を一時的に抑えることで発汗を抑えることが期待されます。重度の原発性腋窩多汗症に対するA型ボツリヌス毒素局所投与は、日本皮膚科学会の原発性局所多汗症診療ガイドラインでも有用性が示され、推奨度Bとされています。
ワキの場合は、筋肉ではなく皮内へ細かく注射します。
肩
肩の筋肉、主に僧帽筋の緊張が強い方に対して、筋肉の張りをやわらげる目的で行うことがあります。
肩こり感や肩の盛り上がりには、筋肉の緊張だけでなく、姿勢、頚椎疾患、神経症状、内科的疾患などが関係することもあります。診察で状態を確認したうえで、適応を判断します。
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当日処置は可能ですか?
診察のうえで適応があり、薬剤の準備に問題がなければ、診察当日に処置可能です。
効果の出方と持続期間
効果の出方
ボツリヌストキシン注射は、注射直後に完成する治療ではありません。
一般的には数日後から徐々に変化を感じ、1〜2週間程度で効果が安定してくることが多いです。
効き方には個人差があり、部位、筋肉の強さ、注入量、過去の治療歴などによって変わります。
持続期間
顔の表情じわでは、一般的に3〜4か月程度で徐々に効果が弱まっていきます。ボトックス注用の添付文書情報でも、一部適応で効果は通常3〜4か月持続するとされています。
ワキ汗に対する効果は、顔の表情じわより長く続く場合がありますが、こちらも個人差があります。効果が弱まってきた場合は、状態を確認したうえで再治療を検討します。
治療後の注意点
当日の注意点
治療当日は、以下の点にご注意ください。
- 注射部位を強くこすらない
- 注射部位のマッサージを避ける
- 長時間の入浴、サウナ、激しい運動、過度な飲酒は控える
- 顔の施術後は、強いフェイシャルマッサージや美容施術をすぐに行わない
- ワキの施術後は、当日の強い摩擦や刺激を避ける
注射後に部位を強くこすることで、薬剤が周囲に広がり、意図しない筋肉に作用する可能性があるため注意が必要です。
施術後に起こりうる症状
注射部位に、赤み、腫れ、痛み、内出血、違和感が出ることがあります。多くは一時的ですが、気になる症状がある場合はご相談ください。注射に伴う赤み、腫れ、痛み、内出血などは、一般的な副作用として知られています。
部位ごとの副作用
顔
- 注射部位の赤み、腫れ、痛み、内出血
- 頭痛、違和感
- 表情のこわばり
- 左右差
- 眉毛やまぶたが下がる
- 笑いにくさ
- 口元の動かしにくさ
- 目の乾き、涙が出やすいなどの違和感
エラ
- 咬みにくさ
- 硬いものを食べると疲れやすい
- 頬がこけたように見える
- 左右差
- 口元の違和感
ワキ
- 注射時の痛み
- 赤み、腫れ、内出血
- 一時的な違和感
- ワキ以外の部位の汗が気になることがある
肩
- 肩や首のだるさ
- 力が入りにくい感じ
- 違和感
- 左右差
まれですが注意が必要な症状
非常にまれに、アレルギー症状、強い筋力低下、飲み込みにくさ、息苦しさ、声の出しにくさなどが報告されています。
このような症状がある場合は、すぐに医療機関へご相談ください。
治療を受けられない、または注意が必要な方
以下に該当する方は、治療を受けられない、または慎重な判断が必要です。
- 妊娠中の方
- 授乳中の方
- 妊娠の可能性がある方
- 妊活中の方
- 神経筋疾患がある方
- ボツリヌストキシン製剤でアレルギーを起こしたことがある方
- 注射部位に強い炎症や感染がある方
- 抗凝固薬を内服中の方
- 眼瞼下垂やまぶたの重さがある方
- 表情の左右差が強い方
- 口元の機能に影響が出ると困る職業の方
- 重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症などの神経筋接合部の疾患がある方
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