ニキビ跡のパンチくり抜き法(パンチ切除)
1.パンチくり抜き法とは、どのような施術ですか?
パンチくり抜き法(パンチ切除、punch excision)は、局所麻酔を行ったうえで、「皮膚パンチ」と呼ばれる円筒状の医療用器具を使い、ニキビ跡を周囲の瘢痕組織ごと切除する方法です。
切除後は、傷の大きさ、形、部位、皮膚の緊張などに応じて、糸で縫合する場合と、縫合せずに自然に皮膚が再生するのを待つ場合があります。縫合する場合は、小さな円形の凹みを細い線状の傷あとに置き換えます。縫合しない場合は、時間をかけて点状の傷あとへ変化します。
この治療の目的は、ニキビ跡を完全に消すことではなく、深い凹みの輪郭や影をやわらげ、今より目立ちにくい傷あとへ置き換えることです。治療後の傷あとが予想より目立つ場合や、凹みが残る場合もあります。
2.適応となる肌悩み
適応を検討しやすいニキビ跡
- 針で刺したように小さく深いアイスピック型のニキビ跡
- 縁がはっきりしていて、底が深い小さなボックスカー型のニキビ跡
- 数が比較的少なく、1か所ずつ治療範囲を明確にできる凹み
- レーザーやニードルRFなど、皮膚表面から行う治療だけでは変化が得られにくいと考えられる深い凹み
パンチくり抜き法が適しにくい状態
- 広く浅く、なだらかに波打って見えるローリング型のニキビ跡
- 顔全体に広がる浅い凹凸、毛穴の開き、肌のざらつき
- 平らな赤みや茶色い色素沈着だけが残っている状態
- 盛り上がった肥厚性瘢痕やケロイド
- 治療部位に赤く腫れたニキビ、膿疱、感染、湿疹などがある状態
- 小さな凹みが密集し、個別に切除すると傷あとが連続する可能性がある状態
活動性のニキビが続いている場合は、施術後にも新しい瘢痕が増える可能性があります。そのため、まずニキビそのものの治療を優先します。
3.施術の流れ
1.ご予約・事前問診
WEB予約またはLINE予約よりご予約ください。治療中の病気、内服薬、アレルギー、ケロイド体質、これまでのニキビ治療や美容施術などについて確認します。
2.洗顔・写真撮影
メイクや日焼け止めを落としていただき、治療前の状態を記録します。
3.医師の診察・治療部位の決定
ニキビ跡の形、直径、深さ、縁の状態、皮膚を伸ばしたときの変化、活動性ニキビの有無などを確認します。パンチくり抜き法が適する部位を選び、切除後に予想される傷あと、治療の限界、費用、副作用について説明します。
4.消毒・局所麻酔
施術部位を消毒し、注射による局所麻酔を行います。麻酔の注射時には、針を刺す痛みや薬液がしみる感覚があります。
5.ニキビ跡の切除
ニキビ跡の大きさに合った皮膚パンチを用い、深い凹みを瘢痕組織ごと円形に切除します。
6.縫合または創部の保護
傷の大きさや部位に応じて縫合するか、縫合せずに治癒を待ちます。出血を確認して止血し、軟膏、テープ、ガーゼなどで保護します。
7.経過診察・抜糸
縫合した場合は、術後7日頃を目安に抜糸します。縫合しない場合も、傷の治り方によっては経過診察をご案内します。
4.期待できる変化と治療の限界
パンチくり抜き法では、深く影のできるニキビ跡そのものを切除し、小さな線状または点状の傷あとへ置き換えます。適切な凹みを選んで行うことで、凹みの深さや輪郭が目立ちにくくなる可能性があります。
ただし、正常な皮膚とまったく同じ状態に戻す治療ではありません。切除後には必ず新しい傷あとができ、赤み、白っぽい点状瘢痕、線状瘢痕、色素沈着、凹み、盛り上がりなどが残ることがあります。皮膚の張力、部位、体質、傷の大きさ、術後の経過によっては、縫合した傷が広がることもあります。
傷あとは数週間で完成するものではなく、赤みや硬さが変化しながら、数か月から1年ほどかけて成熟します。治療直後や抜糸直後の状態だけで最終的な結果を判断することはできません。
5.医学的な位置づけ
日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」では、ニキビを早期に治療し、新しい瘢痕を予防することの重要性が示されています。一方、すでにできたニキビ跡に対するパンチくり抜き法について、明確な推奨度は設定されていません。
海外の研究やレビューでは、パンチを用いた治療は、深く縁のはっきりしたアイスピック型やボックスカー型のニキビ跡に対する選択肢として報告されています。ただし、大規模で長期的な比較試験は十分ではなく、施術方法や評価方法も研究ごとに異なります。
そのため当院では、すべてのクレーターに一律に行うのではなく、瘢痕の形と深さ、切除後に予想される傷あと、ダウンタイム、ご希望を確認したうえで、自由診療としてご提案します。
6.当院で行う治療
おやまつクリニックでは、ニキビ跡を一括して「クレーター」と判断するのではなく、アイスピック型、ボックスカー型、ローリング型の形態、凹みの深さ、下床との癒着、活動性ニキビ、赤みや色素沈着の有無を診察します。
パンチくり抜き法が適する深く限局した凹みには、局所麻酔下で切除を行います。切除後の閉鎖方法は、傷の大きさや部位に応じて判断します。
ニキビ跡には複数のタイプが混在していることが多いため、必要に応じて、次のように治療を分けてご提案します。
- 深く限局したアイスピック型、一部の深いボックスカー型:パンチくり抜き法
- 下床との癒着があるローリング型:サブシジョン
- 広い範囲の浅い凹凸や肌質の乱れ:サーマニードルEVO、KOレーザー(フラクショナル)など
- 活動性のニキビ:保険診療を含む内服薬・外用薬による治療
- 赤みや色素沈着:色調と肌状態に応じた別の治療
複数の治療が適している場合でも、創部への負担やダウンタイムを考慮し、同日に行わず治療日を分けることがあります。治療を急がず経過をみる選択も含めてご説明します。
7.診察当日の処置は可能ですか?
パンチくり抜き法は、診察当日に施術できる場合があります。
ただし、当日の施術をお約束するものではありません。次のような場合は、後日の予約処置をご案内します。
- 治療する個数が多い場合
- 縫合を含め、十分な施術時間を確保する必要がある場合
- 当日の予約状況により必要な時間を確保できない場合
- 強い炎症性ニキビ、感染、湿疹、日焼けなどがある場合
- 抗凝固薬・抗血小板薬などの服薬状況を確認する必要がある場合
- ケロイド体質や傷が治りにくい病気などについて、慎重な検討が必要な場合
- 診察の結果、ほかの治療が適していると判断した場合
当日施術をご希望の方は、ご予約時にその旨をお伝えください。診察で適応を確認したうえで判断します。
8.治療概要・料金
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診療区分 | 自由診療(健康保険は適用されません) |
| 施術料金 | 1か所 5,500円(税込) |
| 診察料 | 初診料3,300円、再診料1,100円(税込) |
| 麻酔 | 注射による局所麻酔 |
| 施術時間の目安 | 1か所ではおおむね5~15分程度。個数、部位、縫合の有無により異なります |
| 標準的な治療回数 | 1つの凹みに対して通常1回。複数ある場合は数回に分けることがあります |
| 標準的な通院 | 診察・施術に加え、縫合した場合は通常5~7日頃に抜糸。状態により追加の診察が必要です |
| 主なダウンタイム | 出血、滲出液、かさぶた、赤み、腫れ、痛みなど。創部の保護はおおむね1~2週間が目安です |
| メイク | 施術部位への直接のメイクは、傷が閉じて乾燥し、医師の許可が出てから再開します。目安は1~2週間程度です |
| 洗顔・シャワー | 原則として当日から可能ですが、創部を強くこすらず、医師の指示に従って保護してください |
治療する個数、傷の治り方、ダウンタイムには個人差があります。診察で治療部位を確認し、施術前に予定する個数と費用をご説明します。
※当院の価格は税込表示です。
※未成年の方は保護者の同伴が必要です。
9.治療前後の注意点・副作用
治療前にお伝えいただきたいこと
- 抗凝固薬、抗血小板薬、鎮痛薬、サプリメントを含む内服状況
- 局所麻酔薬、テープ、消毒薬などに対するアレルギー
- ケロイド体質、出血しやすい体質、糖尿病など傷が治りにくくなる病気
- 妊娠中または授乳中であること
- 治療部位へのレーザー、注入、サブシジョン、手術などの治療歴
- 口唇ヘルペスなど、繰り返す感染症の既往
服用中の薬は、ご自身の判断で中止しないでください。中止や変更が必要な場合は、処方した医師と相談します。
治療部位に感染や強い炎症がある方、重い出血傾向がある方、局所麻酔薬に重いアレルギーがある方などは、施術を行わない、または延期する場合があります。
施術後の生活上の注意
- 医師から指示された期間は、軟膏、テープ、ガーゼなどで創部を保護してください。
- 洗顔やシャワーでは、創部を強くこすらず、泡でやさしく洗ってください。
- 出血した場合は、清潔なガーゼで10~15分ほど途切れずに圧迫してください。
- 湯船につかるのは原則として翌日以降とし、出血や滲出液がある場合はシャワーのみにしてください。
- 飲酒は2~3日程度、激しい運動やサウナは4~5日程度を目安に控えてください。出血や腫れの状態によっては、さらに長く控えていただく場合があります。
- かさぶたやテープを無理にはがさず、傷が閉じるまで施術部位への直接のメイクを避けてください。
- 傷が閉じたあとは、炎症後色素沈着を予防するため、日焼け止めなどで紫外線対策を続けてください。
- ニキビ治療薬、ピーリング成分、レチノールなど刺激のある外用剤を治療部位へ再開する時期は、医師の指示に従ってください。
起こりうる副作用・合併症
パンチくり抜き法では、次のような症状や合併症が生じる可能性があります。
- 麻酔注射時の痛み、施術後の痛み、圧痛
- 出血、滲出液、内出血、腫れ、赤み、熱感
- 感染、毛嚢炎、ニキビの悪化
- 傷の治りの遅れ、傷が開くこと
- 炎症後色素沈着、色素脱失、長く続く赤み
- 点状または線状の傷あと、白っぽい傷あと、縫合痕
- 傷あとのへこみ、盛り上がり、硬さ、幅の広がり
- 肥厚性瘢痕、ケロイド
- 凹みの残存、左右差、効果不十分、修正処置が必要となる可能性
- 局所麻酔による動悸、気分不良、血管迷走神経反射、アレルギー反応。非常にまれに局所麻酔薬中毒
ご予約について
ニキビ跡の凹みは、見た目が似ていても、形、深さ、癒着の程度が異なります。パンチくり抜き法が適しているか、ほかの治療がよいかを診察で確認し、治療後の傷あと、ダウンタイム、副作用、費用を含めてご説明します。
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