耳瘻孔|耳の前の小さな穴・腫れ・膿を繰り返す方へ
耳瘻孔とは

耳瘻孔とは、生まれつき耳の前や耳の周囲に小さな穴がある状態です。
「じろうこう」と読み、耳の前にあるものは「耳前瘻孔」と呼ばれることもあります。
見た目は小さな穴やくぼみのように見えますが、皮膚の下には細い管状の構造が続いています。多くは無症状のまま経過しますが、管の中に垢や皮脂のような内容物がたまり、細菌感染を起こすと、赤み・腫れ・痛み・膿などの症状が出ることがあります。
一度感染を起こすと、同じ部位で炎症を繰り返すことがあります。
耳瘻孔の原因
耳瘻孔は、耳が作られる胎児期の発生過程で生じる先天的な変化と考えられています。
生まれつきあるもので、生活習慣やスキンケア不足が原因でできるものではありません。
ご家族に同じような耳の穴がある方がいる場合もありますが、必ず遺伝するというものではありません。
主な症状
耳瘻孔は、症状がなければ気づかれないこともあります。症状が出る場合には、次のようなものがあります。
耳の前や耳の周囲に小さな穴がある
耳の付け根付近や耳輪の近くに、小さな穴やくぼみとして見えることがあります。
白い内容物やにおいのある分泌物が出る
穴から白っぽい内容物や、においのある分泌物が出ることがあります。
分泌物があるだけで強い炎症がない場合もありますが、気になる場合は診察で状態を確認します。
赤く腫れる・痛くなる
細菌感染を起こすと、穴の周囲が赤く腫れ、押すと痛みを感じることがあります。
腫れが強くなると、膿がたまって膿瘍になることもあります。
膿が出る・繰り返し化膿する
感染を繰り返すと、本来の小さな穴以外の場所から膿が出たり、皮膚の下で瘻管が複雑になったりすることがあります。
炎症を繰り返すほど、手術時に瘻管の取り残しや再発のリスクが高くなることがあります。
当院で行う治療
耳瘻孔の治療は、症状の有無、感染の状態、これまでに炎症を繰り返しているかによって異なります。
1. 症状がない場合
耳瘻孔があるだけで、赤み・腫れ・痛み・分泌物などがない場合は、必ずしも治療が必要とは限りません。
日常生活で困っていない場合は、経過観察となることがあります。
ただし、今後感染を起こす可能性があるため、腫れ・痛み・膿が出てきた場合は早めの受診をおすすめします。
2. 感染している場合
赤く腫れて痛みがある場合は、まず感染を落ち着かせる治療を行います。
状態に応じて、抗菌薬の内服、痛み止め、外用処置などを行います。
膿がたまっている場合には、局所麻酔をして切開し、膿を出す処置が必要になることがあります。
感染が強い時期に無理に根治手術を行うと、炎症で瘻管の走行が分かりにくくなり、取り残しや再発につながることがあります。そのため、まず炎症を落ち着かせてから、改めて手術時期を相談します。
3. 感染を繰り返す場合
腫れや膿を繰り返す耳瘻孔では、瘻管を含めて摘出する手術を検討します。
耳瘻孔は皮膚の下に細い管があり、ときに枝分かれしていたり、周囲に瘢痕ができていたりすることがあります。
手術では、穴と瘻管をできるだけ取り残さないように摘出し、皮膚を縫合します。
炎症を何度も繰り返している場合は、通常より広い範囲の切除や、皮膚を移動して閉鎖する処置が必要になることもあります。
4. 当院では耳瘻孔摘出術は予約手術です
当院では、耳瘻孔の根治を目的とした摘出術は、原則として予約手術で行っています。
耳瘻孔は見た目の穴が小さくても、皮膚の下で瘻管が伸びていたり、過去の炎症で周囲が硬くなっていたりすることがあります。安全に手術を行うため、診察で状態を確認し、手術内容、所要時間、術後の注意点などをご説明したうえで手術日を決定します。

治療後の注意点
感染時の処置後
切開排膿を行った場合は、しばらく膿や浸出液が出ることがあります。
医師の指示に従って、洗浄やガーゼ保護を行ってください。
抗菌薬が処方された場合は、自己判断で中止せず、指示された期間は内服してください。
手術後
手術後は、創部を清潔に保つことが大切です。
洗顔・洗髪・シャワーの開始時期、ガーゼ保護、抜糸の時期については、手術内容に応じて個別にご説明します。
術後しばらくは、腫れ、内出血、つっぱり感、赤みが出ることがあります。多くは時間とともに落ち着きますが、強い痛み、急な腫れ、出血、膿、発熱などがある場合は早めにご連絡ください。
再発について
耳瘻孔は、瘻管をすべて摘出することを目指して手術を行いますが、再発の可能性を完全にゼロにすることはできません。
特に感染を何度も繰り返している場合や、過去に切開排膿を受けている場合は、瘻管の走行が複雑になっていることがあります。
手術の合併症、リスク
・腫れ:軽度のものを含め必ず起こります。手術翌日が最も腫れますが、1週間ほどで軽快します。
・感染:細菌感染により赤く腫れたり熱を持ったりします。感染が生じた際はキズを開放して洗浄する、抗生剤を内服するなどの処置が必要となることがあります。また、感染が生じたときはキズ跡は目立つものになる可能性があります。
・出血:術後に創部から出血することがあります
・内出血:2週間程度で自然に吸収されます
・創部離開:手術後にキズが強く引っ張られたり、瘻孔摘出後にできた空間をしっかり縫い閉じられなかったり、瘻孔摘出が不十分だったりするとキズが開くことがあります。
・傷あと:時間とともに目立ちにくくなりますが、ゼロにはなりません
・肥厚性瘢痕:首や体、四肢などよく動かすところは傷あとが赤く盛り上がる可能性があります
・再発:瘻孔を全て切除したとしても再発リスクはあります。感染を繰り返す耳瘻孔ほど再発リスクは高くなります。