サブシジョン(ニキビ跡・クレーター状の凹み治療)
ニキビが治ったあと、赤みや色素沈着ではなく、皮膚が凹んで影ができる「クレーター状のニキビ跡」が残ることがあります。
凹んだニキビ跡には、ローリング型、ボックスカー型、アイスピック型などがあり、それぞれ原因となる深さや形が異なります。サブシジョンは、主に皮膚の下の瘢痕組織によって引き込まれている凹みに対して行う治療です。すべてのニキビ跡に同じように適するわけではないため、治療前に瘢痕の形や癒着の程度を見極めることが大切です。
サブシジョンとは、どのような施術ですか?
サブシジョンは、局所麻酔を行ったうえで、皮膚の小さな刺入口から専用の針またはカニューレを挿入し、凹みを下方向に引っ張っている線維性の瘢痕組織を剥離する治療です。
癒着が解除されることで皮膚の引き込みを弱め、クレーターの影を目立ちにくくすることを目指します。また、剥離後の創傷治癒の過程が、凹みの改善に関与すると考えられています。
皮膚を切り取る手術ではありませんが、針を皮膚の下へ挿入して組織を剥離する医療行為です。腫れ、出血、内出血などのダウンタイムがあり、まれに感染や血管・神経の損傷などが起こる可能性もあります。
サブシジョンの医学的な位置づけ
海外の臨床研究やレビューでは、特にローリング型の萎縮性ニキビ跡に対する治療選択肢として報告されています。一方、研究ごとに使用器具、施術方法、治療回数、評価方法が異なり、大規模で長期的な比較試験は十分ではありません。
日本皮膚科学会の「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」では、サブシジョンについて明確な推奨度は設定されていません。当院では、期待できる変化だけでなく、治療の限界や副作用についてもご説明し、ご希望を確認したうえで自由診療として行います。
適応となる肌悩み
適応を検討しやすいニキビ跡
- 広く浅く、なだらかに波打って見えるローリング型のニキビ跡
- 皮膚を伸ばすと浅くなり、下床との癒着が疑われる凹み
- 一部のボックスカー型のうち、底面が瘢痕組織で引き込まれているもの
- 水痘や外傷後などに生じた一部の陥凹性瘢痕
サブシジョン単独では適しにくい状態
| ニキビ跡・肌悩みの種類 | 特徴 | サブシジョンの位置づけ |
|---|---|---|
| ローリング型 | 広く浅く、縁がなだらかな凹み | 主な適応です |
| ボックスカー型 | 円形・楕円形で、縁が比較的はっきりした凹み | 癒着がある部分には検討しますが、縁や表面には別の治療が必要なことがあります |
| アイスピック型 | 小さく、針で刺したように深い凹み | 通常、サブシジョンを第一選択とはしません |
| 赤み・茶色い色素沈着 | 平らで、色だけが残っている状態 | サブシジョンの対象ではありません |
| 毛穴の開き・肌のざらつき | 明らかな瘢痕性の癒着がない状態 | サブシジョン以外の治療を検討します |
| 肥厚性瘢痕・ケロイド | 盛り上がったニキビ跡 | サブシジョンの対象ではありません |
炎症性ニキビが続いている場合は、施術後にも新しい瘢痕が増える可能性があります。そのため、まずニキビそのものの治療を優先することがあります。
効果の現れ方と治療の限界
施術直後は、麻酔液、腫れ、注入したヒアルロン酸の影響により、凹みが一時的に浅く見えます。直後の状態が最終的な結果ではありません。
腫れや内出血が落ち着いたあと、数週間から数か月かけて経過をみます。1回の治療で変化を感じる方もいますが、癒着の強さや治療範囲によっては複数回の施術が必要です。
サブシジョンは、ニキビ跡を完全に消したり、正常な皮膚と同じ状態に戻したりする治療ではありません。凹みの深さや影をやわらげ、目立ちにくくすることを目標とします。鋭い縁、深い欠損、表面の質感、赤み、色素沈着などは、サブシジョンだけでは十分に改善しないことがあります。
また、ヒアルロン酸は時間とともに体内へ吸収されるため、ヒアルロン酸による支持効果は徐々に弱くなります。瘢痕の再癒着や新しいニキビの発生により、凹みが再び目立つこともあります。
ニキビ跡は、形に応じて治療を組み合わせます
ニキビ跡は、複数のタイプが同じ部位に混在していることが少なくありません。そのため、1種類の施術だけですべての凹凸を治療するのではなく、瘢痕の形や深さに応じて治療を分けて考えます。
- 下床との癒着があるローリング型:サブシジョン
- 表面の凹凸や肌質の乱れ:サーマニードルEVO、KOレーザー(フラクショナル)など
- 深く限局した凹み:パンチくり抜きなど
- 活動性のニキビ:保険診療を含む内服薬・外用薬による治療
- 赤みや色素沈着:色調や肌状態に応じた別の治療
併用治療が適している場合でも、肌への負担やダウンタイムを考慮し、同日に行わず治療日を分けることがあります。
当院で行うサブシジョン治療
おやまつクリニックでは、ニキビ跡を一括して「クレーター」と判断するのではなく、ローリング型、ボックスカー型、アイスピック型の形態、下床との癒着、活動性ニキビ、赤みや色素沈着の有無を診察します。
サブシジョンが適する部分には、局所麻酔下で瘢痕組織の剥離を行い、原則としてヒアルロン酸を併用します。表面の凹凸や鋭い縁、深い点状の瘢痕には、サーマニードルEVO、KOレーザー(フラクショナル)、パンチくり抜きなど、別の治療をご提案する場合があります。
炎症性ニキビが続いている場合は、まず保険診療によるニキビ治療を優先します。患者さんが希望されるダウンタイム、治療回数、費用、目指す状態を確認し、治療を急がない選択も含めてご説明します。
診察当日の施術は可能ですか?
サブシジョンは、麻酔時間と施術時間を確保する必要がある予約制の治療です。基本的には診察で適応と治療範囲を確認したあと、施術日をご予約いただきます。
治療範囲が小さく、当日の施術枠に空きがあり、診察で安全に施術できると判断した場合には、診察当日に対応できることがあります。当日施術をご希望の場合は、ご予約時にその旨をお伝えください。
以下の場合は、後日の施術をご案内します。
- 治療範囲が広く、十分な施術時間が必要な場合
- 当日の予約状況により、必要な時間を確保できない場合
- 強い炎症性ニキビ、感染、湿疹、日焼けなどがある場合
- 抗凝固薬・抗血小板薬などの服薬確認が必要な場合
- 過去に注入した製剤や手術内容の確認が必要な場合
- 診察の結果、他の治療が適していると判断した場合
治療概要・料金
| 項目 | 内容 |
| 診療区分 | 自由診療(健康保険は適用されません) |
| 施術料金 | 2×2cm:16,500円(税込) |
| 料金に含まれるもの | 局所麻酔、ヒアルロン酸 |
| 診察料 | 初診料3,300円、再診料1,100円(税込) |
| 施術時間の目安 | 施術範囲によります。施術自体はおおむね15~30分、診察・麻酔・施術後の確認を含めて30~60分程度が目安です |
| 標準的な治療回数 | 1~3回程度。1回で終了する場合もあります |
| 治療間隔の目安 | 追加治療を行う場合は、通常1~3か月程度あけて状態を再評価します |
| 主なダウンタイム | 腫れ、赤み、痛み、内出血。内出血は1~2週間、場合によっては2~3週間続くことがあります |
| メイク | 刺入口の出血や滲出液が止まっていれば、通常は翌日から可能です |
| 洗顔・シャワー | 当日から可能ですが、施術部位を強くこすらないでください |
| 入浴・飲酒・運動・サウナ | 腫れや内出血が強くなることがあるため、当日から翌日は控えてください |
治療回数、治療期間、ダウンタイムには個人差があります。診察時に治療範囲を確認し、施術前に費用をご説明します。未成年の方は、保護者の同伴が必要です。
治療前後の注意点・副作用
治療前にお伝えいただきたいこと
- 抗凝固薬、抗血小板薬、鎮痛薬、サプリメントを含む内服状況
- 局所麻酔薬、ヒアルロン酸製剤、薬剤に対するアレルギー
- ケロイド体質、出血しやすい体質、傷が治りにくい病気
- 妊娠中または授乳中であること
- 治療部位へのヒアルロン酸、脂肪、肌育製剤、糸リフト、手術などの治療歴
- 口唇ヘルペスなど、繰り返す感染症の既往
服用中の薬は、ご自身の判断で中止しないでください。中止や変更が必要な場合は、処方した医師と相談します。
妊娠中・授乳中の方、治療部位に感染や強い炎症がある方、重い出血傾向がある方、局所麻酔薬や使用製剤に重いアレルギーがある方などは、施術を行わない、または延期する場合があります。
施術後の注意点
- 当日は施術部位を強く押す、こする、揉むなどの刺激を避けてください。
- 冷却する場合は、保冷剤を直接皮膚に当てず、短時間ずつ行ってください。
- 当日から翌日は、飲酒、激しい運動、長時間の入浴、サウナなど、血流が増える行動を控えてください。
- メイクや洗顔を再開するときも、刺入口を強くこすらないでください。
- 色素沈着を防ぐため、皮膚が落ち着いたあとは日焼け止めなどで紫外線対策を行ってください。
- 医師から薬が処方された場合は、指示どおり使用してください。
起こりうる副作用・合併症
| 関連する処置 | 起こりうる症状・合併症 |
| サブシジョン | 痛み、圧痛、腫れ、赤み、熱感、出血、内出血、血腫、刺入口の傷、感染、ニキビ・毛嚢炎の悪化、皮下のしこり、凹凸や左右差、色素沈着、一時的なしびれ、瘢痕、ケロイド、効果不十分、再癒着・凹みの再出現など |
| 血管・神経への影響 | まれに血管や神経を損傷し、強い出血、皮膚障害、持続する知覚異常、運動神経障害などが生じる可能性があります |
| ヒアルロン酸注入 | 痛み、腫れ、赤み、内出血、硬さ、しこり、凹凸、左右差、感染、アレルギー、遅発性炎症、肉芽腫など |
| ヒアルロン酸による血管閉塞 | 非常にまれですが、血管閉塞により皮膚の虚血・壊死、視力障害・失明、脳梗塞などの重い合併症が起こる可能性があります |
| 局所麻酔 | 注射時の痛み、内出血、動悸、気分不良、血管迷走神経反射、アレルギー反応など。非常にまれに局所麻酔薬中毒が起こることがあります |
すぐにご連絡いただきたい症状
次のような症状がある場合は、時間を置かず当院へご連絡ください。診療時間外で、視力の変化や急激に悪化する症状がある場合は、救急医療機関を受診してください。
- 急に強くなる痛み、鎮痛薬を使用しても続く強い痛み
- 皮膚が白くなる、紫色のまだら模様になる、水疱ができる
- 視力低下、視野の異常、物が二重に見える、強い眼痛
- 急速に広がる腫れや大きな血腫、圧迫しても止まらない出血
- 発熱、膿、強い赤みや熱感など、感染が疑われる症状
- 顔の動かしにくさや、強い・持続するしびれ
ご予約について
ニキビ跡の凹みは、見た目が似ていても、原因となる深さや癒着の程度が異なります。サブシジョンが適しているか、他の治療がよいかを診察で確認し、治療の限界やダウンタイムも含めてご説明します。