AGA(男性型脱毛症)の内服治療
フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジル内服
「生え際が後退してきた」「頭頂部の地肌が目立つ」「髪の毛が以前より細くなった」といった変化は、AGA(男性型脱毛症)の可能性があります。
AGAは徐々に進行する脱毛症です。当院では、頭皮や毛髪の状態、薄毛の進行パターン、これまでの治療歴、全身状態、ご予算、治療の継続しやすさなどを確認し、患者さん一人ひとりに適した内服方法をご提案します。
ただし、内服量を増やせば必ず効果が高まるわけではありません。効果の現れ方には個人差があり、いずれの治療も発毛や毛量の改善を保証するものではありません。
AGA(男性型脱毛症)とは
AGAは「Androgenetic Alopecia」の略で、遺伝的な要因や男性ホルモンの影響によって起こる進行性の脱毛症です。
男性ホルモンの一種であるテストステロンは、5α還元酵素の働きによってジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。DHTが毛包に作用すると毛髪の成長期が短くなり、太く長く育つ前に抜けるようになります。
この状態を繰り返すことで毛髪が少しずつ細く短くなり、生え際や頭頂部の地肌が目立つようになります。
AGAにみられやすい症状
- 額の生え際が徐々に後退してきた
- 生え際の両側がM字型に薄くなってきた
- 頭頂部の地肌が目立つようになった
- 髪の毛が細く、柔らかくなった
- 抜け毛に細く短い毛が増えた
- 髪全体のボリュームが減ってきた
- 父方または母方の家族に薄毛の方がいる
すべての薄毛がAGAとは限りません
急激な脱毛、円形・斑状の脱毛、頭皮の赤みや痛みなどがある場合は、円形脱毛症、休止期脱毛症、感染症、甲状腺疾患、鉄欠乏、薬剤性脱毛、瘢痕性脱毛症などを考える必要があります。
次のような症状がある場合は、自己判断でAGA治療薬を開始せず、医師の診察を受けてください。
- 短期間に急激に抜け毛が増えた
- 円形または不規則な形に毛が抜けている
- 頭皮に赤み、痛み、膿、強いかゆみがある
- 眉毛や体毛も抜けている
- 発熱、体重減少、強い倦怠感などがある
- 新しい薬を飲み始めてから抜け毛が増えた
AGAの内服治療とは
AGAの内服治療では、「AGAの進行を抑える治療」と「毛髪の成長を促すことを目的とした治療」を、単独または組み合わせて行います。
当院では、以下の3種類の薬を取り扱っています。
- フィナステリド1mg
- デュタステリド0.5mg
- ミノキシジル5mg・10mg
それぞれ作用、承認状況、副作用が異なるため、診察を受けたうえで治療方法を選択することが大切です。
| 薬剤 | 主な目的 | 国内での承認状況 | 国内ガイドライン |
|---|---|---|---|
| フィナステリド1mg | DHTの産生を抑え、AGAの進行遅延を図る | 成人男性のAGA治療薬として承認 | 推奨度A |
| デュタステリド0.5mg | DHTの産生をより広く抑え、AGAの進行抑制と改善を図る | 成人男性のAGA治療薬として承認 | 推奨度A |
| ミノキシジル内服 | 毛包に働きかけ、毛髪の成長を促すことを目指す | AGA・脱毛症治療薬として国内未承認 | 推奨度D |
2026年9月時点で、日本皮膚科学会が公開している国内最新版は「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」です。同ガイドラインでは、男性AGAに対するフィナステリドおよびデュタステリド内服は推奨度A、ミノキシジル内服は推奨度Dとされています。
日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
フィナステリド1mgとは
フィナステリドは、5α還元酵素のうち主に2型を阻害し、AGAに関係するDHTの産生を抑える薬です。
国内では成人男性のAGAに対して承認されており、日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨度Aとされています。
当院ではフィナステリド1mgを使用します。毎日内服する方法では、通常1日1回1錠を服用します。
3か月程度で変化がみられる場合もありますが、治療効果を評価するには通常6か月程度の連日服用が必要です。効果を維持するためには継続的な服用が必要であり、中止すると再びAGAが進行することがあります。
なお、国内添付文書では「増量による効果の増強は確認されていない」とされています。
デュタステリド0.5mgとは
デュタステリドは、5α還元酵素の1型と2型の両方を阻害し、DHTの産生を抑える薬です。
フィナステリドより広い範囲の5α還元酵素を阻害しますが、すべての方でフィナステリドより良好な結果が得られるとは限りません。副作用やご予算、これまでの治療経過なども含めて選択します。
国内では成人男性のAGA治療薬として承認されており、日本皮膚科学会のガイドラインでは推奨度Aです。
当院ではデュタステリド0.5mgを使用します。毎日内服する方法では、通常1日1回1錠を服用します。
服用開始後12週間程度で変化がみられる場合もありますが、通常は6か月程度継続して効果を評価します。
ミノキシジル内服とは
ミノキシジルは、もともと血管を拡張する降圧薬として開発された成分です。毛包に働きかけ、毛髪の成長期を維持することなどによって発毛を促す可能性があると考えられています。
一方、ミノキシジル内服薬は、日本国内ではAGAや脱毛症の治療薬として承認されていません。国内で発毛剤として承認されているのは、一定濃度のミノキシジル外用薬です。
近年はミノキシジル内服に関する研究が増えていますが、長期的な安全性、適切な投与量、他のAGA治療薬との併用方法については、まだ十分なデータが確立されていません。
ミノキシジル5mgについて
脱毛症領域の文献では、一般に5mg/日以下が「低用量ミノキシジル内服」とされています。
2024年の無作為化比較試験では、男性AGAに対するミノキシジル5mg内服は、5%ミノキシジル外用薬に対する全体的な優越性を示しませんでした。
ミノキシジル10mgについて
ミノキシジル10mg/日は、脱毛症領域で一般に低用量とされる範囲を超えます。5mgより10mgの方が必ず高い発毛効果を得られる可能性があります。
また、5mg/日を超える高用量を検討した2025年の小規模な後ろ向き研究では、対象者の24.6%に何らかの副作用が認められ、多毛や頻脈などが報告されています。
このため当院では、ミノキシジル10mgをすべての方に一律に提案することはありません。持病、血圧、脈拍、体格、これまでの治療歴、5mgでの反応や副作用などを確認し、医師が慎重に適応を判断します。
適応となるお悩み
次のような成人男性がAGA治療の対象となります。
- 額の生え際が徐々に後退している
- M字部分の薄毛が気になる
- 頭頂部の地肌が目立ってきた
- 髪が細くなり、全体のボリュームが減ってきた
- AGAの進行をできるだけ抑えたい
- 市販の育毛剤だけでは十分な変化を感じられない
- 医師の診察と管理のもとで治療したい
- 現在のAGA治療で十分な変化が得られていない
- ミノキシジル外用薬を継続することが難しい
当院でご提案する内服方法
当院では、薄毛の部位や進行度、毛髪の太さ、これまでの治療歴、期待する治療内容、全身状態、副作用のリスク、ご予算、治療の継続しやすさなどを確認し、次の内服方法から適したものをご提案します。
1.フィナステリド1mgのみを毎日内服
フィナステリド1mgを1日1回内服します。
AGAの進行遅延を主な目的とした、国内承認の治療方法です。治療費を抑えながら継続したい方や、初めてAGA治療を受ける方に提案することがあります。
2.デュタステリド0.5mgのみを毎日内服
デュタステリド0.5mgを1日1回内服します。
5α還元酵素の1型と2型を阻害する国内承認の治療方法です。AGAの進行度、フィナステリドによる治療歴などを踏まえて提案します。
3.ミノキシジル5mgとフィナステリド1mgを交互に内服
1日目にミノキシジル5mg、2日目にフィナステリド1mgを服用し、以後交互に内服します。
2種類の薬を同じ日に服用せず、1日ごとに切り替える方法です。
4.ミノキシジル5mgとデュタステリド0.5mgを交互に内服
5.ミノキシジル10mgとフィナステリド1mgを交互に内服
6.ミノキシジル10mgとデュタステリド0.5mgを交互に内服
7.ミノキシジル5mgとフィナステリド1mgを両方とも毎日内服
ミノキシジル5mgとフィナステリド1mgの両方を1錠ずつ1日1回内服します。
AGAの進行抑制と毛髪の成長促進という異なる作用を組み合わせる方法です。
8.ミノキシジル5mgとデュタステリド0.5mgを両方とも毎日内服
9.ミノキシジル10mgとフィナステリド1mgを両方とも毎日内服
10.ミノキシジル10mgとデュタステリド0.5mgを両方とも毎日内服
治療方法の選び方
AGAの進行抑制を中心に考える場合
フィナステリドまたはデュタステリドの単独内服をします。
初めて治療する方、まずは治療費や副作用を抑えながら継続したい方には、フィナステリドから開始する場合があります。
発毛促進も希望する場合
診察の結果、ミノキシジル内服が可能と判断した場合は、フィナステリドまたはデュタステリドとの交互内服・毎日併用を検討します。
ご予算と継続しやすさを重視する場合
AGA治療は継続が必要です。短期間だけ高額な治療を行うのではなく、無理なく継続できる治療方法を一緒に検討します。
副作用や全身状態に不安がある場合
副作用の少なさを優先し、一剤から治療を開始します。心疾患、低血圧、むくみなどがある方には、ミノキシジル内服を提案しない場合があります。
費用
AGA治療は公的医療保険が適用されない自由診療です。
| 内服方法・1か月分 | 費用(税込) |
|---|---|
| フィナステリド1mgのみ | [9,900円] |
| デュタステリド0.5mgのみ | [8,580円] |
| ミノキシジル5mg・フィナステリド交互内服 | [9,240円] |
| ミノキシジル5mg・デュタステリド交互内服 | [9,900円] |
| ミノキシジル10mg・フィナステリド交互内服 | [10,890円] |
| ミノキシジル10mg・デュタステリド交互内服 | [11,550円] |
| ミノキシジル5mg・フィナステリド毎日併用 | [18,480円] |
| ミノキシジル5mg・デュタステリド毎日併用 | [19,800円] |
| ミノキシジル10mg・フィナステリド毎日併用 | [21,780円] |
| ミノキシジル10mg・デュタステリド毎日併用 | [23,100円] |
| 初診料 | [3,300円] |
| 再診料 | [1,100円] |
治療効果を評価するまでの標準的な期間は約6か月です。治療を継続する場合は、その後も薬剤費と診察料がかかります。
治療開始後の経過
- 治療開始~3か月:見た目の変化がまだ分かりにくい時期です
- 3~6か月:抜け毛や毛髪の太さに変化がみられる場合があります
- 6か月前後:治療を継続・変更するか判断する一つの目安です
- 6か月以降:効果と副作用を確認しながら継続の必要性を検討します
AGAが進行して毛包が長期間小さくなっている部分や、瘢痕によって毛包が失われている部分では、十分な発毛が得られないことがあります。
服用中の注意点
- 処方された用法・用量を守ってください
- 交互内服では、服用する薬を間違えないようご注意ください
- 飲み忘れても2回分をまとめて服用しないでください
- 自己判断で増量・減量しないでください
- 他院のAGA治療薬や個人輸入薬との重複使用は避けてください
- 他の方に薬を譲らないでください
- 治療を中止すると、得られた変化が徐々に失われる場合があります
- 副作用が疑われる場合は、次回予約を待たずにご相談ください
フィナステリド・デュタステリドの副作用・注意点
主な副作用として、次の症状が報告されています。
- 性欲の低下
- 勃起機能の低下
- 射精障害、精液量の減少
- 精子数や精子運動率など精液の質への影響
- 乳房の張り、乳房痛、乳房の腫大
- 抑うつ症状、めまい
- 発疹、じんましん、血管性浮腫
- 肝機能障害
- 自殺念慮、自殺企図など
性機能に関する症状が服用中止後も続いたとの報告があります。また、2026年3月改訂の添付文書には、自殺念慮・自殺企図などに関する注意が追加されています。
気分の著しい落ち込みや自殺を考えるなどの症状が現れた場合は服用を中止し、速やかに医療機関へご相談ください。うつ病、うつ状態、自殺念慮などの既往がある方は、治療前に必ずお伝えください。
PSA検査について
フィナステリドはPSA値を低下させます。前立腺がん検診や人間ドックでPSA検査を受ける場合は、必ず服用中であることを担当医へお伝えください。
献血について
フィナステリド・デュタステリド服用中および服用中止後6か月間は、献血できません。
女性の薬剤への接触について
妊娠中または妊娠の可能性がある女性は、割れたり砕けたりしたフィナステリド錠に触れないでください。錠剤は分割・粉砕せずに保管してください。
ミノキシジル内服の副作用・注意点
主な副作用として、次の症状が報告されています。
- 顔や体の多毛
- 一時的に抜け毛が増えたように感じる初期脱毛
- 頭痛
- めまい、立ちくらみ
- 血圧低下
- 動悸、頻脈
- 手足や顔のむくみ
- 体重増加
- 倦怠感
- 胸痛、息切れ
- 心不全の悪化
- 心膜液貯留などの心血管系障害
胸痛、呼吸困難、失神、急激なむくみや体重増加、安静時にも続く強い動悸などが現れた場合は、服用を中止し、速やかに当院または救急医療機関へご相談ください。
ミノキシジル内服を控えたほうが良い方
- 心疾患、心不全、狭心症、不整脈などがある方
- 血圧が低い方
- 降圧薬や不整脈治療薬を服用している方
- 腎機能障害がある方
- むくみや急激な体重増加がある方
- 原因不明の動悸、胸痛、息切れがある方
- 高齢の方
- その他、医師が安全な服用が難しいと判断した方
未承認・適応外治療に関する重要事項
ミノキシジル内服は国内未承認です
ミノキシジル内服薬は、日本国内ではAGAやその他の脱毛症に対する治療薬として、医薬品医療機器等法上の承認を受けていません。
入手経路
当院で使用するミノキシジル内服薬は、医師による個人輸入により入手しています。
国内承認薬の有無
AGA治療を目的として国内承認されたミノキシジル内服薬はありません。
国内ではミノキシジル外用薬が発毛剤として承認されています。また、成人男性のAGAに対しては、フィナステリドおよびデュタステリドの内服薬が承認されています。
海外における承認・安全性
ミノキシジル内服薬は、米国などで重症高血圧症の治療薬として承認されている場合がありますが、AGA・脱毛症治療薬として承認されているわけではありません。
脱毛症に対する低用量内服については一定の研究報告や国際的な専門家合意がありますが、長期的な安全性、10mg投与、交互内服、他剤との併用については十分なデータが確立されていません。
医薬品副作用被害救済制度について
未承認医薬品による治療や、国内承認薬を承認された用法・用量と異なる方法で使用した場合に健康被害が生じても、原則として医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。
AGA・薄毛のご相談はWEB予約・LINE予約から
生え際や頭頂部の薄毛が気になり始めた方は、自己判断で海外の治療薬などを購入する前にご相談ください。当院では頭皮と毛髪の状態を診察し、AGA以外の脱毛症も考慮したうえで、全身状態、副作用のリスク、ご予算、治療の継続しやすさに配慮した内服方法をご提案します。